2023-01-01から1年間の記事一覧
大夏をすぎても毎日暑いですね。 夏にどんな漢詩がうたわれていたかなあと見ていたら、蘇軾のこんな漢詩がありました。 「菩薩蛮 夏景回文」 蘇軾(北宋)火雲凝汗揮珠顆 顆珠揮汗凝雲火瓊暖碧紗軽 軽紗碧暖瓊 暈腮嫌枕印 印枕嫌腮暈閒照晚粧残 残粧晚照閒 …
茶道の七事式の中に「唱和の式」という、みんなで花を生け、香を聞き、歌を詠むという花月があります。 参加する五人が一人ずつ花を生け、最後に全員が自分が生けた花をテーマに歌を詠むというもの。 中国では夏のこの時期茶花を集めるもの一苦労ですが、い…
梅雨が明け、暑くなってくる頃に上海でよく見かける花が「ノウゼンカズラ」(凌霄花)。 中国語でも同じ漢字で「凌霄」[líng xiāo] です。 学名:Campsis grandiflora こんな感じの、落葉性のつる花です。 雨上がりに、鮮やかなオレンジ色の花が一気に咲い…
「浙江詩詞大会」の指導用書に指定されている『浙路詩心』を入手しました。 浙江省の宋代から清代までの詩が335首集められています。 エリアごとに分けられているのが便利! 杭州60首、寧波27首、温州33首、紹興31首、湖州26首、嘉興27首、金華25首など。 例…
浙江詩詞大会で、漢詩の募集が始まっています。 テーマは3部門のうちからいずれか。 ①宋代文化、②第19回杭州アジア大会、③浙江山水 アジア大会のテーマって、確かにもうすぐ浙江省杭州で開催されますが、ちょっと異質ですね。スポーツや現代をテーマにどうい…
毎日暑いですね。 夏休みに浙江省教育庁が行う「浙江詩詞大会」が今年も開催されます。 (微信WeChatの公式アカウント) 大会は「詩詞クイズ、吟誦、創作コンテスト」の三本立て。 詩詞クイズの予選は、全部で30問。制限時間10分。 問題の30問は、学校(小学…
せっかく蘇州に来たので、蘇州式ラーメン。 スープの色は濃い目に見えますが、あっさりのしょうゆ味。 上に載っているのは目玉焼きです。 スープに麺とシンプルで、ほかにいろいろおかずを注文して載せながら食べるのが蘇州式とか。生姜の細切りがたっぷりで…
週末に蘇州に行ってきました。 上海からは高速鉄道で30分ほど。東京と横浜くらいの感覚で、十分日帰りできる距離。(でも蘇州から仕事で上海に通っているというのは聞かないですね) 蘇州訪問は友人に会うためなので、漢詩はちょっとかすっただけですが、記…
世界的にコロナは落ち着いてきましたが、 ウクライナ侵攻はなかなか終わりが見えませんね。 同じ世界から戦争がなくなることを願いつつ。 去年、ある動画を見て作った漢詩があります。 見たのは、この動画。 www.youtube.com 2022年3月 ウクライナ南部ヘルソ…
一応、推敲まで終えた下記の漢詩を仕上げてみようと思います。 気になるところはまだありますが、解決策も見いだせないので。 「梅天閑詠」 庭中苔緑雨如煙 独座詩思自寂然 屋漏蝸涎偶成句 無聊酒尽枕書眠 まず、日本の漢詩ルールでは、漢詩本文の漢字は「旧…
昨日、なんとか平仄や韻のルールにのっとった漢詩がなんとなく出来上がりました。 と思ったら、一詩の中に漢字の重複使用は意図的な場合以外避けるべきなのに、「無」の字が重複していました。 「梅天閑詠」 庭中苔緑雨如煙 屋漏無聊自寂然 酌酒思詩蝸試篆 …
なかなか梅雨が明けないまま、暑い日が続きますね。 お題にそった漢詩作りの練習ということで、「梅天閑詠」をテーマに作ってみます。 梅雨の日ののんびりした様子を詠む、ですね。 漢詩作りは、読みたい気持ちや情景を元に、詩語をパズルのように組み合わせ…
中国では学校の授業で、基本的には書道を習うことはありませんが、近年の自国文化重視の教育や、情操教育のために、小学生向けの書道教室もまた増えてきているようです。 家の近所のショッピングモールにも、新しく書道教室がオープン。 外に掛かっている生…
知識図譜(https://cnkgraph.com/)のサイトの「地図」コーナーに、捜韻が設計したこんなページがありました。 「陆上丝绸之路沿途遗存景点及其相关诗词」 (陸のシルクロード沿線の遺跡スポットと関連詩) 開いてみると、こんな感じです。 西安から、トルコ…
漢詩クイズで、江西省にある「廬山」の詩が出てきました。 地図を見ると廬山は、上海から長江をさかのぼっていったところにあるようですね。 クイズにもなっていたのは、李白の三千尺の滝で有名なこの詩。 「望廬山瀑布」 廬山の瀑布を望む 李白 日照香炉生…
上海で開催された世界AI大会(世界人工智能大会/WAIC)2023を見に行ってきたのですが、そこで「AIであなたのために詩をつくる」という新しいサービスが発表されていました。 为你作诗 ~智联世界生成未来 「あなたのために詩を作ります」~AIで世界をつなぐ …
中国の小学生向け漢詩テキストの中に、いくつかクイズが出てきます。 『一日一首古詩詞・夏』より ↑それぞれの9文字からイメージする五言古詩は? 9文字が1首の五言古詩のキーワードになっています。 山という文字を含む古詩のフレーズを、それぞれ異なる位…
古詩十九首 其十 迢迢牽牛星 皎皎河漢女纎纎擢素手 札札弄機杼終日不成章 泣涕零如雨河漢清且淺 相去復幾許盈盈一水間 脈脈不得語 『文選』巻二十九、雑詩の中に作者不詳で収録されている古詩 牽牛、織姫の伝説に託した恋の詩ですね。 重音の表現がリズムを…
『一天一首 古詩詞』春・夏・秋・冬 山東出版教育社 各36元 小学校の教材に入っている詩で暗唱必須のものから、四季に並べて解説。 一日一首よみましょう、というコンセプトで構成され、夏編の目次を見てみると… 夏の時期の13週の詩が、二十四節季の順番で掲…
中国の義務教育(小学校と中学校)の9年間で、暗記する古詩の目標は240首にものぼるのだとか。 1年生から暗唱の課題が続々と出るそうです。 そんな参考テキストとして、本屋で見つけたのがこの本。 『小学生必背古詩文』(小学生が必須暗記の古詩と文)…
漢詩作りで基本ルールは「平声」(平らな音)の同じグループで踏む、 ですが、仄声で韻を踏む「仄韻詩」もあるようで。 中国のサイトでの説明を見ると… 千篇 漢語詞典より zèyùnshī仄韵诗仄声で韻を踏む旧体詩。 古体詩では平仄どちらでも韻を踏み、仄韻詩が…
中国で、詩と詞を作る愛好家たちのためのサイト「詩詞吾愛」を見ていたら、いわゆる日本で言う「漢詩」を作っている人が結構いるのだなあと。 「詩詞吾愛」https://www.52shici.com/ 詩の投稿コーナーも盛んで、人気ランキングやサークル活動なども活発です…
南宋時代の発音で分類した「平水韻」により、すべての漢字は「平」と「仄」の発音の漢字に分かれています。それが現代中国語に変遷していく中で発音が踏襲されているところもありながら、入声がなくなるなど変わったところもあります。 現代の中国語(標準語…
「平仄の四声」と「現代中国語・ピンインの四声」 漢詩の入門で、漢字には四声があり、それが平と仄に分かれると聞くと、現代中国語学習者はまず間違いなく、四声ってあのピンインの最初で習う「māmámǎmà」のアレでしょ、と思うに違うない。実際、私もそう思…
漢詩の基本ルールを整理しておきます。 色々ありますよね。 【漢詩の形式】 一句の字数が五字のものは五言詩、七字のものは七言詩。 七言の場合は、上四・下三で切れる 五言の場合は、上二・下三で切れる 全体が四句のものは絶句、八句のものは律詩。 十句以…
さて、漢字を○(平声)と●(仄声)の白黒でわける平仄のルールを確認しましたが、先人たちの詩は本当にこのルールに基づいて作られているのか。 例にあげた杜甫の「絶句」で見てみたいと思います。 「絶句」杜甫 江○碧●鳥●愈△白● 江は碧にして鳥は愈よ白く …
さて、すべての漢字は宋代の発音に基づき4つのグループ「四声」に分類されていると韻①で書きました。 四声(現代中国語の「四声」とは異なる概念なので、混乱しやすく要注意) 〇平声(ひょうしょう) ・・・平らかな発音(三十種類) ●上声(じょうしょう) ・…
韻は、漢字106のグループのうち、平声30グループの中から、1つのグループを選んで同じグループの漢字で踏む、という基本ルールを踏まえたうえで、さてどこに踏むのか。 「絶句」杜甫 江碧鳥愈白 江は碧にして鳥は愈よ白く 山青花欲然 山は青くして花は燃えん…
韻を踏む話の続きです。 すべての漢字を106のグループに分類した中で、 平声に属する30グループの中から、同じグループ内の漢字で韻を踏むのが原則。 (この平声は、現代中国語の第一声とは異なり、宋代の発音を元にして分類されたものです) 平声の30グルー…
漢詩のルールといえば、やはり「韻」ですよね。 句末を同じ音でそろえることを、漢詩世界では「押韻」(おういん)というそうです。 (すべての句末ではなく、決まった句の最後だけ) 教科書で習った杜甫の「絶句」で見てみると… 「絶句」杜甫 江碧鳥愈白 江…