梅雨が明け、暑くなってくる頃に上海でよく見かける花が「ノウゼンカズラ」(凌霄花)。
中国語でも同じ漢字で「凌霄」[líng xiāo] です。
学名:Campsis grandiflora
こんな感じの、落葉性のつる花です。
雨上がりに、鮮やかなオレンジ色の花が一気に咲いていました。
花は3~4センチほど。ラッパみたいな形ですね。
夏から秋にかけて花が咲き、10月頃に種ができるそう。
調べてみると、中国原産で、平安時代には日本に渡来していたそうです。
ノウゼンカズラは、夏の季語なんですね。
そんなノウゼンカズラを詠んでいる漢詩がないか、捜韻で調べてみました。
唐代を中心に、いくつか出てきました。
その中から2首。
「題僧房双桐」 李頎 (盛唐)
青桐双拂日 傍帯凌霄花
緑葉伝僧磬 清陰潤井華
誰能事音律 焦尾蔡邕家
拂日:遮蔽阳光。太陽を遮ること。
青い桐の木が太陽を遮る横に、ノウゼンカズラのつる花が咲いている
という感じでしょうか。
もう一首。
「有木詩八首 其七」 白居易(唐)
有木名凌霄 擢秀非孤標
偶依一株樹 遂抽百尺条
托根附樹身 开花寄樹梢
自謂得其勢 无因有動揺
一旦樹摧倒 独立暫颻颻
疾風从東起 吹折不終朝
朝為拂雲花 暮為委地樵
寄言立身者 勿学柔弱苗
拂雲:意思是触到云。极言其高。雲にふれるほど高い。
木有り 凌霄と名づく 擢(ぬき)んでて秀でているも、孤標に非ず
(すぐれているけれども、自分だけでは経っていられないというツル植物の特性ですね)
最後は、「言を寄し身を立つる者 柔弱の苗を学ぶ勿かれ」とそういった弱弱しいものをまねてはいけない、と締めています。
さて、ノウゼンカズラの花の生き生きと美しい感じを詩に詠んでみようと思いましたが、あまりお手本がなく…
梅の花のように身近にうたわれる花ではないようですね。