漢詩作りのための雑記

漢詩は読むのも作るのも深い沼

「梅天閑詠」の漢詩を仕上げる

一応、推敲まで終えた下記の漢詩を仕上げてみようと思います。

気になるところはまだありますが、解決策も見いだせないので。

 

「梅天閑詠」

庭中苔緑雨如煙

独座詩自寂然

屋漏蝸涎偶成句

無聊酒尽枕書眠

 

まず、日本の漢詩ルールでは、漢詩本文の漢字は「旧漢字(旧体字)」を使うのが通例ということで、旧漢字のあるものを調整。

私は「ちょっと便利帳」(https://www.benricho.org/moji_conv/13.html)というサイトを活用して一括変換しています。

 

「梅天閑詠」

庭中苔雨如煙

座詩思自寂然

屋漏蝸涎偶成句

無聊酒枕書眠

 

そして、読み下しをつけてみます。

この読み下しが苦手なのですが、気持ちで。

こちらは常用漢字(新体字)を使います。

 

「梅天閑詠」

庭中苔綠雨如煙 庭中(ていちゅう)の苔緑(たいりょく) 雨煙の如し

獨座詩思自寂然 独座(どくざ)して詩を思ふに自ずから寂然(じゃくぜん)

屋漏蝸涎偶成句 屋漏(おくろう)の蝸涎(かえん) 偶(たまたま)句を成す

無聊酒盡枕書眠 無聊(ぶりょう)にして酒尽き 書を枕にして眠る

 

これで一応の自分なりの完成となりました。

 

お題に対して漢詩を作るというのは、絵画におけるスケッチ、スポーツにおける筋トレ、茶道における割り稽古のような、決して欠かせない基礎トレーニング。

これで基礎体力をつけてから、独創性を発揮するような自由な漢詩作成に進むべしというのが鉄則のよう。

まずは100本ノックならぬ、100詩作成なのかもしれませんね。

といっても、こうした基礎トレーニングは地道で楽しみながらというのは難しい所でもあり。お題に対して、愛情をもって実体験を描く視点というのが大切なのかなとも思いますが、なかなか詩語のしばりもあり。

 

石川忠久先生は、「漢詩を作る」で、日本的な表現「和習」は、「和臭」であり極力避けるべきであるとのべられています。

日本語と中国語で、同じ漢字でも意味の違う「夢」や「空」などは要注意です。

 

漢詩作りは、中国の歴史的詩人が使った詩語を探しながら、さらに平仄合わせでくみ上げていくので、あっという間に時間が吸い込まれるんですよね。

そうして時間を費やした先に、自分の描きたい景色が漢詩で描けているかというと…なかなか難しいのが現状ですね。

100句ノックが終わったころには、別の景色が見えているといいなあと淡い期待を抱きつつ。

 

(上海もまだ梅雨が明けず。ビルの合間の紫陽花は生き生き)

 

今、短歌や俳句は再びブームになっていますが、ここに漢詩が加わる日が来るのか否や。