なかなか梅雨が明けないまま、暑い日が続きますね。
お題にそった漢詩作りの練習ということで、「梅天閑詠」をテーマに作ってみます。
梅雨の日ののんびりした様子を詠む、ですね。
漢詩作りは、読みたい気持ちや情景を元に、詩語をパズルのように組み合わせていくようなところがありますね。
漢詩初心者の味方は、『だれにもできる漢詩の漢詩の作り方』(呂山太刀掛重男・著)
この本は、季節やテーマごとに詩語がまとまっていて、初心者はこれを組み合わせるだけで漢詩ができるようになっています。
梅雨のページを開けてみると、こんな感じ。
平仄表示と合わせて詩語が2字と3字で並んでいます。
そして私はもう1冊、先輩からいただいた『詩語辞典』(河井酔萩・編、松雲堂書店)も愛用しています。
この詩語辞典で「雨に」関連するページを開いてみると…
まずは、この2つのページを眺めながら、下3文字で韻を決めてみようと。
同じ「先」韻のグループから、起句に「雨如煙」、結句に「枕書眠」を入れてみようと思います。
・・・・雨如煙
起句 △○△●△○◎韻(先)
承句 △●△○△●◎韻
転句 △●△○△●●
・・・・枕書眠
結句 △○△●△○◎韻
「先」という韻でいこうと決めたので、ほかの「先」グループの漢字をチェック。
「煙」と「眠」は使ったので、他の漢字で、なおかつ平仄が逆転で●●◎(韻)になる3文字を考えます。
「然」の字を使った「自寂然」を選択。
さらには転句で、雨の中から○●●になるものをいくつか候補でピックアップ。
「無客訪/蝸試篆/苔鮮湿/花落否/生万物」をキープします。
・・・・雨如煙
起句 △○△●△○◎韻(先)
・・・・自寂然
承句 △●△○△●◎韻
・・・・無客訪/蝸試篆/苔鮮湿/花落否/生万物
転句 △●△○△●●
・・・・枕書眠
結句 △○△●△○◎韻
下3文字を組んでみて、なんとなく骨格が見えてきたので、次に平仄に合わせて上の詩語(4文字)を組み合わせてみます。
庭中苔緑雨如煙
起句 △○△●△○◎韻(先)
屋漏無聊自寂然
承句 △●△○△●◎韻
酌酒思詩蝸試篆
閣閣蛙群生万物
転句 △●△○△●●
無人来訪枕書眠
幽情酌酒枕書眠
結句 △○△●△○◎韻
転句の「蝸試篆」(カタツムリが這って篆字のようになるのを試みる)は『だれ漢』にあったのですが、捜韻では用例が見つからず。「蝸涎篆」か「蝸成篆」のほうがよさそうでしたが、「涎」も「成」も平声で平仄が合わず。別案「蝸篆壁」をキープ。
転句からは別案の展開も考えつつ、ひとまず平仄を合わせながら七言絶句を組み立ててみました。
「梅天閑詠」
庭中苔緑雨如煙
屋漏無聊自寂然
酌酒思詩蝸試篆
無人来訪枕書眠
捜韻のサイトで平仄をチェック。
ひとまず漢詩の平仄や韻のルールはクリアしたよう。
ただ、これが詩としてよいかはまた別問題…。
漢詩の難しいところは、どこかを直そうとすると平仄や韻が崩れてしまって、また組み立て直しになってしまうところ。
転句から結句をもう少しなんとかしたいところですが、ひとまず一度寝かしてみます。