さて、漢字を○(平声)と●(仄声)の白黒でわける平仄のルールを確認しましたが、先人たちの詩は本当にこのルールに基づいて作られているのか。
例にあげた杜甫の「絶句」で見てみたいと思います。
「絶句」杜甫
江○碧●鳥●愈△白● 江は碧にして鳥は愈よ白く
山○青○花○欲●然◎ 山は青くして花は燃えんと欲す
今○春○看△又●過△ 今春看すみす又過ぐ
何○日●是●帰○年◎ 何れの日か 是れ帰年ならん
※△は平仄の両方の発音がある漢字、◎は韻(先グループ)
こうしてみると…
二文字目と四文字目の白黒が全て異なっています。
そして、
二文字目だけ見ると、一句目から●〇〇●、
四文字目は反対に、一句目から△●●〇(△は両方あるので〇と解釈)と
逆の組み合わせになっています。
きれいに、平仄のルールにのっとっていることが分かります。
ちなみに、私はこの平仄をチェックするときに、「捜韻」という中国のサイトを使っています。
表示は中国語ですが、現代中国語の簡体字でない日本の漢字でも検索できるので便利です。
ちなみに、先ほどの杜甫の「絶句」を捜韻の平仄チェックに入れたら、次のような検索結果が出ました。
江碧鳥愈白,山青花欲然。
平仄仄中仄,平平平仄平。
今春看又過,何日是帰年。
平平中仄中,平仄仄平平。
以下是一字多音的汉字,系统没法判断其读音,请自校。
愈瘉 麌韵,上声 (yù):音庾。《玉篇》胜也。《广韵》贤也。
愈瘉 虞韵,平声 (yú):音于。《老子·道德经》动而愈出。《音义》羊主反,又羊朱反。
过
过 个韵,去声 (guō,guò):《玉篇》度也,越也。《正韵》超也。歌韵同。又过失,独用。
过 歌韵,平声 (guō):音戈。《广韵》经也。《书·禹贡》东过洛汭,北过洚水。
以下是可平可仄的字:看
平仄の誤りがあると、赤字で表示されるのですが、この詩の場合は赤表示はなし。
平仄の両方の発音がある漢字は、緑色で確認するように表示されています。
平仄の両方の発音がある漢字の場合、その意味によって平仄が分かれることがあるからです。
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おまけ:
教科書にのっているような漢詩をこの捜韻で平仄チェックを入れてみると、
この杜甫の絶句のようにきれいにはまっている例のほうが稀かもという結果に…。
ちなみに、最初にあげた李白の「哭晁卿衡」を捜韻に入れてみると…
检验结果如下。标红处表示平仄有误。标绿处表示有一字多音的情况,需要人工校验。
日本晁卿辞帝都,征帆一片繞蓬壷。
仄仄平平平仄平,平平仄仄仄平平。
明月不帰沈碧海,白雲愁色満蒼梧。(本联上句失粘)
平仄仄平中仄仄,仄平平仄仄平平。
下列文字因在特定词汇中需要变音而导致律格出错:
以下是一字多音的汉字,系统没法判断其读音,请自校。
沈 侵韵,平声 (chén):音霃。《说文》陵上滈水也。一曰浊黕也。
沈 寝韵,上声 (shěn):音审。古国名。《左传·昭元年》沈姒蓐黄,实守其祀。
沈 沁韵,去声 (zhèn):音鸩。亦没也。一曰投物水中也。或作湛。
诗中平仄或用韵有误之处,根据系统资料库,列举参考词汇如下:
第3句“月”字平仄有误
こんな感じに。赤の直すべきがたくさんの表示。
まあでも漢詩作りの初心者は、まずは基本に忠実に。
この平仄ルールにのっとって、赤字の警告が出ないような整った漢詩作りを目指すのが大原則なのです。
そうして詩作を続けた先に、見えてくるものがある…と信じて。