漢詩作りのための雑記

漢詩は読むのも作るのも深い沼

茶道の「唱和の式」で漢詩を詠む

茶道の七事式の中に「唱和の式」という、みんなで花を生け、香を聞き、歌を詠むという花月があります。

参加する五人が一人ずつ花を生け、最後に全員が自分が生けた花をテーマに歌を詠むというもの。

 

中国では夏のこの時期茶花を集めるもの一苦労ですが、いろいろみんなが持ち寄って鮮やかに揃いました。

まずは、日本語と中国語で花の名前を確認。

 

蓮、木蓮(中国語では木蘭)、木槿、月見草(中国語で夜来香)、蘭など。

茶花は中国から昔入ってきた花が多いのですが(洋花は基本)、花の名前は中国語と日本語で微妙に違うものや、まったく違うものもあって難しいですね。

 

唱和の式は、普段は和歌を詠みますが、せっかく中国でするので漢詩にしてみましょうと。

みんなすらすらと出てくるからすごいですよね。

 

私は事前に、ノウゼンカズラ(凌霄)で考えて、お花も持って行ったのですが、この暑さでダメになってしまい…

 

事前に考えていたノウゼンカズラの漢詩はこんな感じでした。

 

「凌霄」

夜来風雨急  夜来風雨の急

●○○●●
満院凌霄香  院に満る凌霄の香り

●●●○◎(陽)
煎茗茶三昧  茗を煎じ茶三昧

●●○○●
桐陰夏日長  桐の陰 夏の日長し

○○●●◎(陽)

↑これだと平仄が合っているはず。

 

本当は、

夜来風雨
満院凌霄香
煎茗茶三昧
陰夏日長

としたいところですが、赤字部分が平仄が合わないので調整しました。

 

実際は、木槿の花を生けたので、

夜来風雨
満院木槿
煎茗茶三昧
陰夏日長

としました。

「声」と「槿」は平仄が合っていないのですが、まあそこは愛嬌で。

これが木槿ではなく「木蓮」か「木蘭」だったら平仄は合っていたので、修行が必要だなあと。

生けた八重の木槿。

 

木蓮(中国語では木蘭、ムーラン)

調べたら、昔は木蘭と書いていたのが、江戸時代に日本では木蓮になったそう。

そして中国で「木蓮」というと「コブシ」のことだそうで、同じ名前で違う花というのがややこしい!

 

モクレンは、花の姿がランに似ていることから中国では「木蘭」と呼び、日本でも音読みして「モクラン」、更に日本語化して「モクラニ」などとも呼ばれた。
そのため、「モクレン」は漢字で「木蘭」とも表記される。
「木蓮(モクレン)」と呼ばれるようになったのは江戸時代頃で、「木蘭」から「木蓮」への変化は、見立てられる花がランからハスに変わったことによる。
「木蓮」も元は漢名であるが、中国でいう「木蓮」は「コブシ(辛夷)」のことである。
別名の「木蓮華・木蓮花(モクレンゲ)」は木蓮と同様の意味からで、「紫木蓮・紫木蘭(シモクレン)」は紫色の花を咲かせることからの名である。

「語源由来辞典」サイトより

 

すらすら漢詩が詠めるようになりたいものです。

あと、筆にも慣れたいですね… 手にもって短冊に書くというのもなかなか…

でも楽しい体験でした。