漢詩作りのための雑記

漢詩は読むのも作るのも深い沼

蘇軾の夏の回文詩

大夏をすぎても毎日暑いですね。

夏にどんな漢詩がうたわれていたかなあと見ていたら、蘇軾のこんな漢詩がありました。

 

「菩薩蛮 夏景回文」 蘇軾(北宋)
火雲凝汗揮珠顆 顆珠揮汗凝雲火
瓊暖碧紗軽 軽紗碧暖瓊

暈腮嫌枕印 印枕嫌腮暈
閒照晚粧残 残粧晚照閒

 

見事な回文になっていますが、最初の2句は七言で、その後は五言なんですね。

そういう形式もあるのかな。

 

夏の火雲が固まり汗の粒になり、粒のような汗が雲火になる、

玉のような体に暑い日には薄い碧色の羽織物をまとい、薄い碧色の衣は肌に玉のようなぬくもり

赤く火照った顔で枕に跡を作ることを嫌い、枕の跡は顔の上の皮脂を嫌う

暇なときに鏡を見れば化粧の残り、残った化粧は夕日に照らして暇だ(つまらない)と感じる、

みたいな解釈でしょうか。

 

中国の小学生が暗記すべき詩の一首のようです。

『一天一首 古詩詞~夏~』山東教育出版社 より