漢詩作りのための雑記

漢詩は読むのも作るのも深い沼

中国の茶室で「梨花一枝春」の掛け軸

なんだかバタバタしているうちに、春ですね。

上海でもここ数日ふわふわと柳絮(りゅうじょ・柳の綿)が飛んでいます。

北京では5月くらいかなと思うので、少し早いですね。

 

さて、忙中閑ありで、上海のお茶室へ。

かかっていた掛け軸は「梨花一枝春」

小林太玄老師筆(臨済宗大本山大徳寺塔頭 黄梅院住職)

 

そうか、この季節は白い梨の花の季節なんですね。

桜から1週間ほど遅れて 開花する、 白い5弁の花だそう。

梨(ナシ)梨(ナシより)

 

この出典は白居易の「長恨歌」で、楊貴妃が涙を流しているさまを形容している一句の一部とのこと。

 

玉容寂寞涙闌干
梨花一枝春帶雨
(「長恨歌」の99句目と100句目)

 

「帯びる雨」とつくと、爽やかな春の梨の花が、一気に憂いて見えますね。

 

そして、ネット版イミダスの「会話で使えることわざ辞典」でこんな紹介があり…

梨花一枝春の雨を帯ぶ | 会話で使えることわざ辞典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス

梨花一枝春の雨を帯ぶ
りかいっしはるのあめをおぶ白い梨(なし)の花が一枝、春の雨に煙っているようである。死んだ楊貴妃(ようきひ)が、仙界(せんかい)で玄宗皇帝を思う思慕の情をうたった白居易の詩から、美人が、ひとり思い悩んで悲しむ風情をいう。

〔出〕白居易(はくきょい)・長恨歌(ちょうごんか)
〔会〕「受付の中野さん、元気ないね」「お姉さんが離婚問題でもめてるんだって」「梨花(りか)一枝春の雨を帯ぶ。美人は悩んでいても色っぽい」「おいおい、人の不幸を……」

なんだか多様性の現代には引っかかりそうな会話例ですが…

まあ、いつか会話でさらっと使ってみたいですね。