漢詩作りのための雑記

漢詩は読むのも作るのも深い沼

漢詩のオンライン吟行会に参加しました

 

今年の冬に初めてオンライン吟行会に参加し、そういう世界があるのかと。

今回は2回目なので、少し様子が分かった状態での参加です。

 

吟行会のお題は「横浜夏景

かなり範囲の広いお題ですよね。

お題を聞いて、漢詩に「赤い靴」(紅靴)か「氷川丸」でしっとりいこうかなあとイメージし。

 

私の参加したオンライン吟行会では、句の提出の2日前に自動(AI導入?)で振り分けられた韻字が2文字送られてきます。

そこからそれぞれが、その韻字を使った七文字の句を作って提出します。

ルールは、二四不同、二六対。

 

今回だと、「先」韻のグループと、「尤」韻のグループがあったようで、どちらかのグループの2字がランダムに振り分けられているよう。

2文字というのは、使用例の多い字と、稀な字の2字が選択できるようにセットになっているそうです。

 

韻字が来たら、結局予定していた赤い靴や氷川丸ははまりそうになく。

やはり韻字ありきになるので、まずは韻を含んだ下3文字を詩語集や捜韻を動員してひたすらイメージ合うもの(横浜夏景に合いそうなもの)を探し。

こういうときは、「捜韻」は心強い味方

下3文字で韻字を使っている歴代の詩が一気に見れて、誰がどのように詠んでいるかも確認できます。

 

そんな感じで下3文字を決めると、あと残りは4文字。

ここに地名(2文字~4文字?)を入れると、あとは一語分残るか残らないか。

なんとか組み合わせて、韻も合わせて投句。

 

こうして集まった句で、オンライン吟行会が開かれました。

七文字でこんないろいろな横浜の夏の情景が詠みこめるんだなあと。

(私の句もどこかにあります)

(神奈川漢詩連盟サイトより神奈川県漢詩連盟 | 漢詩を学ぶ、漢詩で遊ぶ

 

自分の当たった韻字が難しいと思っていましたが、皆さんの句を拝見したら、もっと苦労しそうな韻を使った句がたくさん。韻字って本当にバリエーションがありますよね。勉強になります。

「箋」や「篇」で夏の夜というのも難しそうだし、「鳩」や「蝉」を使うともう生き物寄りになってしまうし…

韻でよく使われる「眠」は、反対に新しさを出すのが難しかったり、皆さんご苦労があったよう。

 

それにして、「纏」という韻字も難しなあと思うのですが、関帝廟の「玉龍纏」とされたのはさすがだなあと。今回で一番好きな句です。

柱に巻き付きながら天を目指す龍は、「纏」がぴったりだなあと。

いつか私も使ってみたいフレーズです。

 

どう見ても「纏」ですよね。

こっちもぎゅっと「纏」

これらの写真は、横浜の関帝廟ではなく、山西省の晋祠の中にある聖母堂で撮影したものです。

関帝廟の句を見て、この龍を思い出しました。

ちなみにこの龍たちの体が細いのは「蟠龍」(龍の子供)だから。

そして蟠」という字を調べたら、とぐろを巻くという意味もあるのですね。

まさに「纏」!

中にいるのは、聖母なのでこの子たちは玉龍ではないですね。

久し振りに横浜中華街の関帝廟に玉龍を見に行きたいです。

 

↓山西省・晋祠の中にある聖母堂

中には周武王の王妃、唐叔虞の母である巴姜が祀られています。

 

さて話がそれました。

吟行会ではほかにも、「天空索道」(桜木町に新しくできた YOKOHAMA AIR CABIN)や、「港未来」(みなとみらい)などの地名が詠みこまれていて、ふむふむと。参考になります。

「外人墓地」は、もうこれで四文字!でも省略のしようがないですよね。四文字入れるのには残り韻を含めた3字だけになるので、勇気がいるなあと。でも外人墓地と聞けば風景も浮かぶし、その雰囲気や空気感もあるなあと。

 

そして横浜と言えば港や、花火大会など、潮風を感じる夏の情景の詠み方の多彩さに、清涼感を感じた吟行会でした。

 

オンライン吟行会記録:2023年8月