漢詩作りのための雑記

漢詩は読むのも作るのも深い沼

中秋節でしたね:月に暮らすウサギとヒキガエル

今年は9月29日が中秋節、一日置いて10月1日が国慶節で、大型連休が始まりました。

 

今日はスマホであちこちから、中秋節メッセージが。

中国はこうした祭日に、チャットでのスタンプやりとりが盛んですね。

こんな感じにいろいろもらいました。

月にあわせて、今年は特に兔推しだなあと。

 

中秋節は、昔から漢詩によく詠まれていましたね。

捜韻で「中秋」を調べてみると、6036件もヒット!

www.sou-yun.cn

詩のタイトルだったり、注だったり、同じ詩の中で複数回出ているのもカウントしているので、実際の詩の数は、もう少し少ないかと。

それにしてもいっぱい出てきます。

 

「中秋」×「兔」で調べると、254件。

こちらも結構あります。

月に住む兔は、「玉兔」[yùtù]っていうんですね。

月宮に住む玉兔、いいですね。

 

あと、

「蟾蜍」[chán chú](ヒキガエル)も出てきますね。

姮娥が西王母の仙薬を盗んで月に走りこみ、ヒキガエルに化したという中国の故事から、月の中にいるんですね。

 

ヒキガエルと兔を組み合わせて「蟾兔」[chán tù]も詩によく出てきます。

実際の組み合わせだと、なんだか…ですが。同じ月に住む生き物くくりで。

「玉兔銀蟾」で対にしている例がありました。ヒキガエルは銀なんですね。

 

中秋月(一作秋月)(817年) 唐 · 白居易(七言律詩)

万里清光不可思 万里の清光思ふべからず

添愁益恨繞天涯 愁ひを添へ恨みを益して天涯を繞る

誰人隴外久征戍 誰人か隴外に久しく征戍し

何処庭前新別離 何れの処の庭前にか新たに別離す

失寵故姫帰院夜 寵を失ふ故姫 院に帰る夜

没蕃老將上楼時 蕃に没する老将、楼に上る時

照他幾許人腸断 幾許をか照他して人腸断つ

玉兔銀蟾遠不知 玉兔銀蟾遠くして知らず

 

他に対で見かけたのは、「兔肥蟾大」とかの表現も。

 

月の兔を…「老兔不死」、「狡兔」などとちょっと雰囲気が違う呼び方も。

 

「桂兔」(キンモクセイと兔かな)とかも季節の感じでいいですね。

いろいろ眺めつつ、月で一詩といきたいところですが… なかなかね。